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周年事業周年事業レポート(3)

秀逸な周年記念サイトを大紹介。企業・商品・大学も周年に注力

  • 文=佐藤恵司郎
  • 2018年05月21日
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秀逸な周年記念サイトを大紹介。企業・商品・大学も周年に注力

周年は、企業が社内外に向けたメッセージを発信する絶好のタイミングといえる。社外に向けてはイメージや認知度のアップ、社内に向けては社員の意識向上が期待でき、さらに10年、20年と継続して、企業・製品の歴史や実績、信頼を伝え、ブランドを育てていくことにもつながる。注目の周年記念サイトをいくつか見てみよう。

「光」をコンセプトに国内外に発信するニコン

世界中のニコン社員から寄せられた写真を使用した映像「Passage of Light」
世界中のニコン社員から寄せられた写真を使用した映像「Passage of Light」
マリリン・モンローのポートレートを使用したキャンペーン
マリリン・モンローのポートレートを使用したキャンペーン

まず紹介するのがニコンの創立100周年記念サイトだ。光とともに歩んできたニコン100年の歴史と、さらなる進化への挑戦が主な内容だ。

コンテンツは「スペシャルムービー」「ヒストリー」「We Love Nikon」といった、映像から年表、インタビュー記事までが充実している。

中でも100周年記念映像のAnniversary Movieは、ドキュメンタリー映画のような完成度で、さらなる進化を目指すニコンの想いがうかがえる。

世界中のニコン社員から寄せられた写真を使用して映像に仕立てたPassage of Lightのアイデアも秀逸だ。社員一人ひとりの笑顔を見ると、楽しんで映像作品に参加しているのがよく分かる。

2018年1月からは、首都圏および近畿圏の交通機関を中心に、マリリン・モンローの伝説の写真を使用した広告キャンペーンを実施。「これまでも、これからも『最高の瞬間』にはニコンがいること」というメッセージを強く印象付けた。

映像や写真などビジュアルの完成度もさることながら、社内外への発信力の高さはさすが世界の総合光学機器メーカーといえる。

新たな船出を映像で発信。三井E&Sホールディングス

公式キャラクターの「100周年くん」と「ゾーセンヒーローズ」
公式キャラクターの「100周年くん」と「ゾーセンヒーローズ」

1917年創立の三井造船グループは、創立100周年を迎えた2018年4月1日に、「三井E&Sホールディングス」として新たな一歩を踏み出した。

サイトを訪れると、背景に流れる映像に目を奪われる。そこからさらに100周年記念メッセージムービーへ進むと、当時の貴重な映像資料を交えながら展開される三井造船グループの歴史と、新たな100年に向かう新生三井E&Sホールディングスの決意が、真面目に、情熱的に綴られている。

一方で、「100周年くん」など30種類もの個性豊かなキャラクターも制作し、リクルーティングを意識した柔軟性も感じられる。

真面目な映像と、ユーモラスなキャラクターの対比が記憶に残る。何だかワクワクさせてくれるような、次の100年に向けての期待感が高まる。

日本人の原体験に訴えかけるヤマキ

ヤマキ 100周年スペシャルサイト

ヤマキ 100周年スペシャルサイト

デジタルアーカイブ「100周年への軌跡」
デジタルアーカイブ「100周年への軌跡」

ヤマキは1917年の創業以来、花かつお・だしの素・めんつゆなどを販売し、2017 年4月に、創業100周年を迎えた。

「ありがとう、にっぽんのお母さん。」をブランドメッセージとして、長きにわたり日本の食卓を支えてきたお母さんたちに敬意を表す。また、「鰹節屋・だし屋ヤマキ」のDNAを次の100年へ継承していく想いを込めて、CI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新した。

100周年記念サイトのコンテンツはブランドムービー、キャンペーンの実施など多岐にわたる。中でもInstagramやTwitterなどのSNSと連携した「#ヤマキ100周年」の投稿は、参加型のコンテンツとしてお客様やファンとのコミュニケーションを提案している。

加えて、スクロールするWebのUI(ユーザーインターフェース)をうまく利用した、デジタルアーカイブ年表「100周年への軌跡」からは、伝統や誇りも見てとれる。周年記念サイトとして、隙がない。

※100周年スペシャルサイトは終了しており、コンテンツの一部は現在、企業サイトに掲載されている。

ロングセラー商品の周年記念サイト。ホンダ スーパーカブ

60周年記念エンブレムデザインプロジェクトのストーリー
60周年記念エンブレムデザインプロジェクトのストーリー

周年サイトはなにも企業の周年だけではない。“商品の周年”もある。ホンダのスーパーカブシリーズは、2017年に世界生産累計台数1億台を達成。2018年には、誕生60周年を迎える。

コンテンツは、EVENT、HISTORY、EMBLEM GALLERY、COLUMN、MOVIE LIBRALYなど。歴代のスーパーカブでみる1億台までの歩みや、開発秘話、歴史を振り返り、魅力を余すことなく伝える。

ユーザーが参加する投稿写真や、「World of Cub」といった世界のクリエイターが描くスーパーカブの絵も興味深い。何度も訪れたくなる、まさにロングセラー商品ならではの周年記念サイトだ。

VIを公募しロイヤルティー醸成。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス

大学も企業に負けていない。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は1990年に開設され、2015年に25周年を迎えた。

25周年記念イベント等で使用するロゴマークのデザインは、SFCの卒業生や在籍者、慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部在籍者や卒業生、SFC研究所所員、慶應義塾教職員の中から公募で選ばれた。VI(ビジュアル・アイディンティティー)を一般から集めるケースはめずらしい。

公募とはいえ完成度は高い。ラテン語で「未来」を意味するフォント「Futura」をベースに、キャンパスの自然、未来を創造する力を象徴する。新しいことにチャレンジしていく行動する力、創造する力を表現したこのロゴは、既存の学問にとらわれないSFCらしい。

周年記念サイトは、25周年記念イベントの告知やレポートが主なコンテンツで、ロゴデザインに合わせたトーンで統一される。シンプルで美しく、SFCが描く未来を感じる。イベントレポートや、各種コミュニケーションからも、このロゴが愛され、広く活用されたのがうかがえる。

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どのサイトも作り手の想いや情熱に溢れる。楽しみながら企業メッセージを発信しているのがひしひしと伝わる。作り手の思いの強さやしっかりしたコンセプトは、メッセージとしての発信力が変わってくる。冊子などは原則、一度作って読んだらその使命はほぼ終わる。Webサイトは更新も容易で、コンテンツを拡充し続ければ、顧客やファンとの接点は継続する。ブランド醸成は一朝一夕にはなし得ない。じっくりと育てていくことにもつながっていくだろう。

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  • 2018年05月21日
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