理念を深く理解し、物語に変える力

共同印刷がブランドムービーで伝えたかった思いと未来への意思

共同印刷株式会社

ブランドコミュニケーション

2025年、共同印刷株式会社はグループ経営理念を刷新した。新たに掲げた「創意と熱意で新たな価値を生み出し、共にある未来を実現する」という理念を、社員や顧客、取引先などのステークホルダーへどのように伝えるかが大きな課題となっていた。

そこで同社が取り組んだのが、ブランドムービーのリニューアルだ。単なる会社紹介ではなく、理念に込めた思いや未来への意思を伝えることを目指し、言葉だけでは伝わりにくい価値観や社会的意義を動画として可視化した。共同印刷株式会社 経営企画本部 広報・IR部の光田亮介氏に、ブランドムービー制作の背景や制作過程での工夫、そして理念浸透に向けた取り組みについて聞いた。

共同印刷が歩んできた道と、理念に込めた社会への思いを伝えるために

1897年に創業した共同印刷は、事業領域を拡大しながらさまざまな製品・サービスを提供し、社会と文化の発展に貢献してきた。そして、同社は2025年、グループ経営理念を刷新し、「創意と熱意で新たな価値を生み出し、共にある未来を実現する」を新たに掲げた。

しかし、理念は策定するだけでは浸透しない。事業領域が広がる中で、「共同印刷は何を目指し、どのような価値を提供していく企業なのか」を、社員や顧客、取引先をはじめとするステークホルダーへ分かりやすく伝える必要があった。

そうした課題意識を持っていたのが、共同印刷 広報・IR部の光田氏だ。

「2017年に立ち上げたコーポレートブランドでは、『関わるすべてと共に良い関係であり、未来を創り拡げていく』という思いを掲げてきました。今回の理念刷新を機に、その考え方を改めて整理し、発信したいと考えました」

そこで同社が取り組んだのが、ブランドムービーのリニューアルだった。

「理念と経営戦略をどのように結び付け、社会に対する存在意義として伝えるのか。その問いに向き合う中で、ブランドムービー制作を進めました」

単なる会社紹介ではなく、理念に込めた思いや未来への意思を伝える。その挑戦が、今回のプロジェクトの出発点となった。

光田亮介氏の写真

共同印刷株式会社 経営企画本部 広報・IR部 課長

光田 こうだ 亮介 りょうすけ

決め手は、「理念」を「物語」へ落とし込む力

ブランドムービー制作にあたり、共同印刷は複数の制作パートナーを比較検討した。その中で制作を依頼したのが、日経BPコンサルティングだった。

選定にあたって重視したのは、動画表現のクオリティーだけではない。経営理念や経営戦略を深く理解し、それをストーリーとして表現できる企画力だった。

「私たちが求めていたのは、単に動画を制作する会社ではありません。理念や経営戦略の背景を理解し、何を伝えるべきかを整理した上で、動画として表現できるパートナーでした」

光田氏は、日経BPコンサルティングの提案を振り返り、こう話す。

「共同印刷が目指す未来や社会へ提供する価値を動画でどう表現するか。その難しいテーマに対して、理念やブランドの考え方を丁寧に理解し、ストーリーや演出に落とし込んでいただけた。それが大きな決め手になりました」

制作過程では、「未来へ」というコーポレートメッセージをどのように動画として表現するかを繰り返し議論した。

表面的な演出ではなく、共同印刷らしい価値観や未来への意思表現を大切にしながらプロジェクトを進めた。

ブランドストーリーについての資料画像。映像のコンセプトについて提案がされている
理念を深く理解し、ブランドストーリーへ落とし込んだ提案

理念をどう語るか。言葉選びと編集にこだわった制作プロセス

制作において最も時間をかけたのは、「何を語るか」の整理だった。

理念は本質的に抽象度が高く、そのままでは視聴者に伝わりにくい。

「理念に込めた思いをどの言葉で語るべきか。その選定には非常に時間をかけました。理念と事業活動、そして社会への価値提供がどうつながるのかを改めて整理する必要がありました」

特に意識したのは、「より良い未来」という言葉を具体的な価値として表現することだった。

「『豊かにする』『笑顔にする』という言葉は聞こえが良い反面、それが具体的にどのような状態を指すのかは人によって異なります。企業が一方的に発信するだけでは、本当の意味で共感を得られません。動画制作を通じて、私たち自身も理念への理解を深められました」

制作を進める中で、「何を見せるか」ではなく、「何を伝えるか」が明確になっていった。

同社の技術やサービスは、日常生活や社会インフラのさまざまな場面で活用されている。しかし、動画で伝えたかったのは製品やサービスそのものではない。その先にある安心や豊かさ、人と人とのつながりなど、共同印刷が社会へ提供している価値だった。

演出面では、従来のブランドムービーが持つ温かさを継承しながら、「未来へ向かって力強く進む企業像」を表現。登場人物の表情や動画全体のトーンにもその意図を反映し、実際の駅構内でのロケーション撮影によるリアルな描写を通じて、共同印刷が目指す未来への意思を動画全体で表現した。

  • 動画のキャプチャ
  • 動画のキャプチャ
  • 動画のキャプチャ
  • 動画のキャプチャ
社会に根付く技術と、その先にある価値を描いた映像シーン

ブランドムービーが社内外のブランド浸透を後押し

完成したブランドムービーは、Web広告やYouTube広告、展示会、イベントなどさまざまな場面で活用されている。

公開後の累計視聴回数は300万回を超え、多くの人々へ共同印刷のブランドメッセージを届けられた。

「社内外からさまざまな反響をいただいています。短時間で当社の考え方や目指す姿を伝えられる有効なツールになっています」

さらに、今回のブランドムービーの制作を通じてブランディングの主役である社員自身が、自社の理念や存在意義を改めて考える機会にもなったという。

「今回出演した社員たちは、各部門で活躍しているメンバーです。撮影を通じて、自分たちがどのような価値を社会へ提供しているのか、会社はどこを目指しているのかを振り返る良い機会になりました」

もちろん、ブランド施策は短期間で問い合わせ件数や売り上げに直結するものではない。しかし同社では、ブランドの浸透は継続的な取り組みだと考えている。

「何かが急激に変わるわけではありません。しかし、地道な発信の継続が重要です。その意味で、今回のブランドムービーは非常に満足度の高い取り組みになりました」

理念を浸透させ、未来への挑戦を伝え続ける

共同印刷が今回のプロジェクトを通じて改めて実感したのは、動画の持つ伝達力だった。

「ブランドに込めた思いを可視化し、社内外へ浸透させていく。そのために動画は非常に効果的なツールだと感じています」

企業理念や経営戦略は、言葉だけでは伝わりにくい。しかし動画には、その背景にある思いや企業の意思まで伝える力がある。

共同印刷のブランドムービーは、理念を可視化し、社員と社会をつなぐコミュニケーション資産となった。

これからも同社は、「創意と熱意で新たな価値を生み出し、共にある未来を実現する」という理念のもと、社会への価値提供と挑戦を続けていく。

TOMOWELブランディング動画「Hands -2025 edition」
光田亮介氏の写真

吉森 大介(日経BPコンサルティング)
脇山 誠司(日経BPコンサルティング)

共同印刷株式会社

https://www.kyodoprinting.co.jp/

出版印刷を祖業とし、情報コミュニケーション事業、情報セキュリティ事業、生活・産業資材事業を展開。1897年の創業以来、印刷技術を核に事業領域を広げ、出版印刷や電子書籍、商業印刷物の企画制作のほか、ICカードの製造、BPOサービスの提供、食品・日用品向けパッケージの企画製造、高機能材料の開発など、暮らしや社会インフラを支える幅広い製品・サービスを提供している。


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