3万人超のネットユーザーによる国内500サイト評価調査「Webブランド調査」最新版「2026-春夏」のリリース(2026年6月19日)に先立ち、前回調査の結果に見られた共通傾向を手がかりに、企業サイトに求められる本質的な役割を考察する。
Webブランド調査から浮かび上がる、生活者が求める情報発信
企業サイトに求められる役割は、大きく変化している。従来のような企業概要や商品情報の掲載にとどまらず、ビジョンや社会課題への取り組み、研究開発、人的資本といった情報発信を強化する企業が増えている。こうした変化は、Webブランド調査の結果からも読み取ることができる。ランキング上位の企業サイトは、「態度変容:企業活動」のスコアが高い傾向があることから、生活者は商品やサービスの情報だけでなく、その企業がどのような考えを持ち、社会にどのような価値を提供しようとしているのかにも関心を寄せていることがわかる。
一方で、こうした情報の拡充が、生活者の理解や関心の醸成につながるとは限らない。企業が情報を「伝える」ことと、生活者に「伝わった(理解してもらう)」ことの間には、隔たりがある。
「伝える」ではなく「伝わった(理解してもらう)」を重視する視点
企業サイト運営において、ページビューや滞在時間といったアクセス指標は重要な評価軸である一方で、それだけでは、企業の取り組みがどのように受け止められたのかまでは捉えきれない。たとえ企業として情報を十分に伝えていても、その内容が生活者の理解や関心に結び付かなければ、期待される本来持つべき価値は十分に発揮されない。企業サイトにいま必要なのは、情報量を単に増やすだけでなく、生活者に分かりやすく届く情報設計であり、「伝える」ことにとどまらず、「理解される」「関心を持たれる」視点が欠かせない。
高評価の企業サイトは何が異なるのか
ただ、その「理解」や「関心」の度合いを定期的に測定している企業は限られているようだ。そんな中、Webブランド調査では、企業サイトの利用実態と評価を多面的に捉えている。この調査では、「運営主の事業活動・技術や取り組みが理解できた」「運営主の事業活動・技術や取り組みに関心を持った」といった評価項目がある。これらの項目は、サイトの使いやすさや、デザイン性を測るだけではなく、企業情報の伝達力や興味喚起力を把握する項目として位置付けられる。ここでは、企業サイトが生活者にどの程度理解され、関心を喚起できているかを見るため、関連する2つのランキングを紹介する。
参考:「Webブランド調査2025 秋冬」におけるランキング
| 順位 | サイト名 | スコア |
|---|---|---|
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1位
|
パナソニック ホールディングス
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6.0
|
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2位
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JAF(日本自動車連盟)
|
5.0
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|
3位
|
エーザイ
|
4.7
|
|
3位
|
トヨタ自動車 公式企業サイト
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4.7
|
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5位
|
武田薬品グローバルウェブサイト
|
4.6
|
|
6位
|
トヨタレンタカー
|
4.5
|
|
6位
|
日立製作所
|
4.5
|
|
8位
|
オリンパスグループ
|
4.4
|
|
9位
|
Kao 花王
|
4.3
|
|
9位
|
コスモエネルギーホールディングス
|
4.3
|
| 順位 | サイト名 | スコア |
|---|---|---|
|
1位
|
サントリーホールディングス
|
4.9
|
|
2位
|
パナソニック ホールディングス
|
3.7
|
|
3位
|
トヨタ自動車 公式企業サイト
|
3.6
|
|
4位
|
三菱電機
|
3.5
|
|
5位
|
リコーグループ
|
3.4
|
|
6位
|
ブリヂストン 企業サイト
|
3.3
|
|
7位
|
ENEOS
|
3.2
|
|
7位
|
大塚製薬
|
3.2
|
|
7位
|
sumusumu | 住まいの設備と建材 | Panasonic
|
3.2
|
|
10位
|
小林製薬
|
3.1
|
これらのランキングで高い評価を獲得している企業サイトでは、事業内容や技術の説明に加え、それらが社会や生活者にもたらす価値が分かりやすく示されており、生活者が企業活動に関心を持つきっかけを提供している。具体例として、「運営主の企業活動が理解できた」ランキングでトップとなった「パナソニック ホールディングス」のサイトでは、事業内容を「家、街、社会での日々のくらしやビジネスへの貢献」として整理し、生活者が自分ごと化しやすい文脈で提示している。
また、「運営主の企業活動に関心を持った」ランキングでトップとなった「サントリーホールディングス」のサイトでは、企業理念「水と生きる」を軸に、水資源保全や環境教育などの取り組みを紹介し、身近な商品と社会・環境への貢献を結び付けて伝えている。
生活者が企業を評価する際には、商品やサービスそのものに加え、その企業がどのような考えを持ち、どのような価値を社会に提供しようとしているのかも、重要な判断材料となっている。企業サイトは、単なる情報提供の場ではなく、企業理解とブランド形成を担うコミュニケーション基盤へと変化している。
「理解」と「関心」を高める情報設計とは
では、企業サイトで「理解」や「関心」を高めるためには、どのような工夫が求められるのだろうか。 高評価を獲得している企業サイトに共通するのは、単に情報を網羅的に掲載するのではなく、「何を伝えるか」と同時に「どのように伝えるか」を設計している点である。事業や技術の説明にとどまらず、それらが社会や生活者にどのような価値をもたらすのかを具体的に示し、生活者が自分ごととして理解できる形で提示している。
また、企業の将来像や取り組みの背景をストーリーとして伝えることで、関心の喚起にもつなげている。なぜその取り組みを行っているのか、どのような課題を解決しようとしているのかが分かることで、生活者は企業活動をより身近に感じやすくなる。こうした「理解促進」と「関心喚起」を前提とした情報設計は、近年重要性が高まっているAIO(AIによる情報取得・要約環境)においても不可欠な視点である。AIは情報の量だけではなく、文脈や意味の一貫性、価値の明確さをもとに内容を解釈・抽出するためである。 企業サイトは、「見られるための情報」から「理解されるための情報」へ、そして「正しく解釈されるための情報」へと進化する必要がある。
Webブランド調査2026春夏版をリリース
6月19日(金)に発行となるWebブランド調査2026春夏版では、主要企業サイトのブランド力や利用実態に加え、企業理解や関心喚起に関する評価をしている。
自社サイトが競合企業と比較してどのような評価を得ているのか、また企業理解やブランド形成にどの程度寄与しているのかを把握することは、今後のサイト改善や情報発信戦略の検討に有用である。
企業サイトが「見られるサイト」から「理解されるサイト」へと進化していくうえで、本調査がその一助となれば幸いである。
Webブランド調査について
(URL:https://consult.nikkeibp.co.jp/premium/lp/wb/)
| 調査目的 | Webサイトのブランド力を測定し、企業や団体のWebにおけるブランドコミュニケーション戦略の成果を定点観測する |
|---|---|
| 調査手法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 全国、20歳以上のインターネット・ユーザー(日経BPコンサルティングの提携調査会社の調査モニター) |
| 有効回答数 | 35,904件 |
| 調査対象ブランド | 企業や団体が運営する日本の主要500サイト |
| 調査実施期間 | 2026年4月10日(金)~4月22日(水)※半年ごとに年2回実施(春夏:4月、秋冬:10月) |
| 調査企画・実施 | 日経BPコンサルティング |
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