「Webブランド調査」結果解説①

ユーザーにとって「良い」サイトとは何か? 企業サイトの役割を最大限発揮するためのポイント

  • ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 コンサルタント 池田 梨子

3万人以上のネットユーザーによる国内500サイト評価調査「Webブランド調査」最新版「2025-春夏」のリリース(2025年6月予定)に先立ち、前回の「2024-秋冬」(2024年12月実施)の一部結果を紹介。「総合力」ランキング上位のサイトの共通点から、ユーザーにとって「良いサイト」とは何かを探る。

高評価の理由は、サイトの使いやすさ/利便性・信頼感のイメージ

当社が半年に一度実施している「Webブランド調査」の「総合力」は、「アクセス頻度」「サイト・ユーザビリティ」「サイト・ロイヤルティ」「態度変容:製品・サービス」「態度変容:企業活動」「行動喚起」の6つの個別評価指標で構成している。「2024-秋冬」で対象とした500サイトのうち、ネット専業企業を除く一般企業の「総合力」スコアTOP3は、「ファミリーマート」「ヤマト運輸」「マクドナルド公式サイト」だった(図1)。総合力スコアTOP10に入った11サイトの結果を見ると、「サイト・ユーザビリティ(サイトの見やすさ/使いやすさ)」と「サイト・ロイヤルティ(サイト全体から受ける、利便性や信頼感のイメージ)」のスコアが高い点が共通している。500サイト平均(50ポイント)に対して、上位11サイトの平均スコアはそれぞれ約70ポイントと大きく上回った。ユーザー視点で見たサイトの使いやすさや「信頼感」などのイメージ獲得が総合力の差を生む要因となっており、これらが「良いサイト」の本質的な部分といえる。サイトを起点としたブランド力の強化やユーザー行動への波及のためには、サイトのデザイン・構成・導線等のサイト全体の使い勝手やポジティブなイメージを醸成する表現といったサイトの基礎固めが重要である。サイトにおける優れたUX(ユーザーエクスペリエンス)は、ブランド体験の要といえる。

図1 【一般企業編(ネット専業企業除く)】Webブランド指数ランキングトップ10

ユーザーニーズに応える情報提供が重要

「2024-秋冬」の総合力で一般企業TOPのスコアを獲得した「ファミリーマート」は、「サイト・ユーザビリティ」に加え、「態度変容:製品・サービス」でも高評価を得ている(図2)。自由意見などからは、新商品情報やキャンペーン情報などへの関心度が高く、ユーザーが知りたい情報の見つけやすさ、分かりやすさが好印象につながっていると考えられる。

「Webブランド調査」では、500サイトに対し、調査実施前にアクセス経験のある回答者に「サイトで閲覧した内容」を尋ねており、「新製品・新サービスの情報」の得票率が最も高い。総合力上位のサイトは、ユーザーが求める情報をタイムリーに伝えることでアクセスを促し、サイト上でも満足度の高いユーザー体験を提供していると考えられる。

同様に、「ヤマト運輸」は「サイト・ロイヤルティ」の「役に立つ、使える」の評価が高く、「荷物お問合せシステム」や集荷・再配達依頼など、生活に密着した「今、知りたい情報」へのたどり着きやすさが評価されている(図3)。これは、新商品情報とは異なるものの、ユーザーにとって即時性・利便性の高い情報提供が重要であることを示している。

また、「マクドナルド公式サイト」は「行動喚起」で高い評価を獲得している(図4)。店舗・デリバリーでの商品購入時に、新商品を含むメニュー情報やキャンペーン情報が効果的に活用されていることがうかがえる。

サイトにおけるよりよいUXを実現するには、ユーザー視点の評価を把握することが重要だ。「Webブランド調査」は、最新版「2025-春夏」(2025年6月発行予定)の発行を予定している。顧客接点の改善やブランド力の強化に、本調査をぜひ役立ていただきたい。

図2 「ファミリーマート」のスコアチャート

ファミリーマート

公的機関が発表している社会や医療における課題と、医療業界における7つの進化を分かりやすく紹介。

図3 「ヤマト運輸」のスコアチャート

ヤマト運輸

図4 「マクドナルド公式サイト」のスコアチャート

マクドナルド公式サイト

■Webブランド調査について

(URL:https://consult.nikkeibp.co.jp/branding/solutions/web-brand/

調査目的 Webサイトのブランド力を測定し、企業や団体のWebにおけるブランドコミュニケーション戦略の成果を定点観測する
調査手法 インターネット調査
調査対象 全国、20歳以上のインターネット・ユーザー
(日経BPコンサルティングの提携調査会社の調査モニター)
有効回答数 36,962件
調査対象ブランド 企業や団体が運営する日本の主要500サイト
調査実施期間 2024年10月11日(金)~2024年10月21日(月)
※半年ごとに年2回実施(春夏:4月、秋冬:10月)
調査企画・実施 日経BPコンサルティング

ブランディングサーベイ&ソリューションのご案内

ブランディング、ブランド調査に関するご相談やお問合せはこちらから

ブランド本部 ブランドコミュニケーション部 コンサルタント
池田いけだ 梨子りこ

Webサイト評価調査「Webブランド調査」を担当するほか、各種ブランド調査やインタビュー、ブランドメッセージ制作などのブランディング支援に従事。周年事業デザインセンターのコンサルタントとして周年事業の各種支援も行う。

※肩書きは記事公開時点のものです。