ESG・サステナビリティ経営の実態は?「ESG経営への取り組み状況調査」報告
「ESG経営への取り組み状況調査」は、2023年11月に、上場企業(2023年10月時点)の「経営企画・サステナビリティご担当者」宛てに郵送およびウェブ調査で実施しました。有効回答数は439件です。回答企業の57.6%は東証プライム上場、32.6%はスタンダード上場企業となりました。
「サステナビリティ推進」の担当部署を設置している企業は全体の59.7%、「ESG推進」の担当部署を設置しているのは49.7%と既に多くの企業が専門部署を設置していることが分かりました。専門部署の設置状況は、売り上げが100億円未満では大きな差は見られませんが、250億円以上になると大きな差が見られる傾向にあります。
※ESG経営への取り組み状況調査2023 Q8.貴社では、「サステナビリティ推進」や「ESG推進」を担当する部署を設置していますかの回答に基づき日経BPコンサルティング調査部にて作成。
「ESGに関する方針・戦略」を「既に策定済みである」と回答した企業は全体の53.3%と過半数に達しました。売上高別では売上高500億円以上の企業と海外売上高比率が0%以外の企業の過半数が「既に策定済みである」と回答しています。売上高、海外売上高比率が高い企業を中心に既にESGへの取り組み基盤ができていると考えられます。
※ESG経営への取り組み状況調査2023 Q12.貴社における「ESGに関する方針・戦略」の策定状況として最も近いものをお選びくださいの回答に基づき日経BPコンサルティング調査部にて作成。
現時点で「ESG経営」として取り組んでいることは「コーポレートサイトでの情報開示」が77.7%と最も多く、続いて「マテリアリティの特定」が66.1%、「人的資本情報開示」が64.2%、「TCFD対応」が60.6%となっています。
※ESG経営への取り組み状況調査2023 Q6.以下のうち、貴社が「ESG経営」として取り組んでいることとして当てはまるものをお選びください(複数回答可)の回答に基づき日経BPコンサルティング調査部にて作成。
ESGやサステナビリティの推進にあたり、課題と思っている項目は「専門性を持った人員の確保が難しい」が全体の76.9%、「推進のための人員・リソースを割けない」が75.1%と人材に関する課題が上位となりました。また、「取り組みに対する全社からの理解が得られない」が34.1%とサステナビリティやESGを推進していく一方で、社内浸透に課題を抱える企業が多くあることが分かりました。
※ESG経営への取り組み状況調査2023 Q28. 推進にあたって課題と感じていることをお選びください(複数回答可)の回答に基づき日経BPコンサルティング調査部にて作成。
サステナビリティ本部コンサルティング部
戸井田 むつみ
アナリストとしてCDPの回答支援、FTSEなどESG評価対応支援を始めとする非財務アドバイザリーを担当。製造メーカー、不動産、金融機関などのアドバイザリーに携わる。
※肩書きは記事公開時点のものです。