サービス起点で考える顧客創造とPoC
事業に意外性を取り入れよう ~トレンドの逆をつく、キーワード5選~
トレンドをもとに事業を考えることが一般的ですが、似たような発想に陥りがちです。
今回はあえてトレンドの“逆”をつくキーワードをご紹介します。
事業に意外性を取り入れ競合サービスと差をつけるヒントにしていただければ幸いです。
キーワード
・ 1.偶発性 ―最適化が進む時代の反動―
・ 2.合法的背徳感 ―コンプライアンス時代のはけ口―
・ 3.能動的不便 ―便利すぎる時代の生きている実感―
・ 4.自己満足 ―コスパ・タイパ時代の目的―
・ 5.束縛 ―広く、ゆるくつながる時代の居場所―
1.偶発性 ―最適化が進む時代の反動―
このような体験はないでしょうか。
- 似たような動画ばかり見てしまう
- 同じような服ばかり買ってしまう
あらゆる領域でこれまでの行動履歴に基づき個人最適化されたレコメンドがされるなかで、
偶発的にコンテンツや人に出会う機会が減少しているかもしれません。
あえてランダム性を持たせることで、今までと違う価値が提供できる可能性があります。
2.合法的背徳感 ―コンプライアンス時代のはけ口―
SNSでの発信が一般化するなかで、自らの言動が他者の目にさらされ、評価されることを意識せざるをえない時代になりました。シェアをすることまで設計された商品開発が一般的になるなか、あえて人には共有しづらいような、背徳的な体験は希少価値が高まっており、そのような潜在的欲求に刺さるサービスを企画できれば、ヒットに繋がる可能性があります。
3.能動的不便 ―便利すぎる時代の生きている実感―
生活から仕事まで、あらゆることが自動化、効率化するなかで、自分がゼロからやったのだという“やりがい”を得ることが難しくなっています。あえて不便さや制約を課すことで体験価値が高まる可能性があります。
4.自己満足 ―コスパ・タイパ時代の目的―
“コスパ”“タイパ”という言葉が象徴するように、生活のあらゆる領域が効率の良さに基づいて判断する人が増えているように思います。そもそもの目的は何なのか、自分の価値観が行方不明になるケースも多いでしょう。気分がいい、人間として嬉しいなど、自己完結、自己満足ができるシンプルな体験の価値が高まっていると言えるかもしれません。
5.束縛 ―広く、ゆるくつながる時代の居場所―
SNSで広く、ゆるくつながる時代。会社でも飲み会等の繋がりが減少するなかで、自分の存在を強く感じる場が希少になっています。あえて、束縛があり、不自由なつながりをデザインすることでこれまでとは異なるコミュニティー・マッチングのサービスが実現するかもしれません。
以上、トレンドの反動に注目したキーワードを5つご紹介しました。
事業に意外性を取り入れることで、独自の価値を見出すヒントにしていただければ嬉しいです。
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マーケティング本部コンサルティング部
豊田康裕(とよだ・やすひろ)
コンビニエンスストア大手オペレーション部門を経て現職。
飲料/食品メーカー、機器メーカー、インフラ、大学などのビジネス支援を行う。