「選ばれる」ための採用サイトをつくる

採用サイトのコンテンツ開発・リニューアルを考える

  • 金縄

    マーケティング本部 ビジネスアーキテクト部 金縄 洋右

コロナ禍を経て、採用の取り組みに変化があったという企業様も多いのではないでしょうか。採用の成果が業績に直結する課題となっているケースも少なくないはずです。
今回は、採用媒体のプロダクトマネジメント経験を持ち、メディアプロデュースに従事しているコンテンツ本部の藤本淳也と、採用サイト開発のプロジェクトマネージャーを務めるデジタル本部の松岡春樹による、「採用サイトのコンテンツ開発・リニューアル」というテーマでの対談をお届けいたします。

採用サイトの開発・リニューアルを検討する際にはじめにすべきこと

松岡
「選ばれる」ための採用サイトをつくるでは、自社の採用サイトの役割と、そこで発信すべき「豊かな従業員体験」についてお伝えいたしました。
現場でコンテンツ制作を支援されている立場からみて、補足しておきたいことなどありましたか?

藤本
その会社らしい「豊かな従業員体験」をコンテンツ化すべきという点はその通りだと思いました。
ここでは、実際に採用サイトのコンテンツを制作する際のことをお話しできればと思います。
自社採用サイトの開発やリニューアルを考える際には、まず自社で運営しているサイトの整理をすべきです。
コーポレートサイトはもちろん多くの企業が持っていますが、並行して運営しているオウンドメディアや商材の特設サイトなども含めて、いち企業として総合的なブランディングという視点で考える際に、それぞれの役割を明確にしておくべきですね。

コーポレートサイト内に採用ページがある場合は、その会社の魅力がちゃんと伝わっているかどうかということを確認します。ここが課題のひとつになっているケースが多いのかもしれません。

松岡
それは、採用サイトがコーポレートサイトのトーン&マナーを踏襲したデザインやコンテンツのつくりになっていることで、 本来の対象者ではない人向けの見せ方になってしまっていませんか?という質問に置き換えられるでしょうか?

藤本
その通りです。
企業サイトはあらゆるステークホルダーに向けたそ情報群になりがちですので、求職者のみに向けたページのトーン&マナーやコンテンツが一緒になっていると、少しクエスチョンマークが出てきます。
ですので、御社の魅力を伝えたいのは「誰」に対してなのかと、「何」を伝えるべきなのかという役割の明確化を行うことが重要だと考えます。
特に採用サイトは情報を届けたい相手が明確です。届けたい相手に情報が届かないことは避けたいですね。

松岡
採用は自社の領域内だけではなく、社外のサービスを利用するケースも多いですから、 自社採用サイトはファーストコンタクトの場ではないと考えて、自社を認知した求職者へより深い理解を与えることを目的としてコンテンツを考えていきましょう、という話にもつながるところですね。


採用サイトの新たな形

藤本
自社採用サイトをブランディング目的で運用しているケースも見られ始めました。

松岡
例えば、採用サイトの体裁で「当社にはこんなキャラクターの人が在籍していますよ」「こんな面白い制度や、当社ならではの取り組みがあります」ということを発信して、実は求職者ではなく潜在顧客や社会に対して情報発信をしているということでしょうか?

藤本
全く求職者向けではないということはもちろんありませんが、おおむねそのようにな考え方の下に運用されているものです。 社内報でもそのような取り組みが行われていることもあります。
本来社内報というと、内部向けの情報ということになるのですが、「オープン社内報」という概念がここ数年で増えています。
メディアや報道からの情報ではなく、自社が発信している情報から自社に対する印象を抱いてもらいたいという想いから始まっているものです。

松岡
「採用サイト」といえども、求職者以外の方が訪問することも可能なわけですから、採用というフィルターを通して自社のブランディングをするということは一定の効果が見込めそうですね。
求職者に対しても印象の良い情報になればいいと思いますし、潜在顧客などに対しても味気ない機能的な会社情報ではなく、「こういうキャラクターの社員が活躍している」などの情報を発信するという役割を持たせることは、コーポレートサイト内よりも採用サイトでの方がやりやすいかもしれませんね。

自社への印象

藤本
採用サイトではペルソナを立てて、そこへどうリーチするかということがとても重要です。ただ、自社がどのような印象を持たれているかや、これまでどのようなブランディングを行ってきたかも加味してペルソナを考える必要がありますね。
企業のパーパスや取り組み、採用のキーメッセージなど一連の流れが外から見ていて納得感の高いものだと、この会社は自社の印象把握ができているなと感じられるものです。

松岡
SNS分析で自社の印象を把握できるような大企業はさておき、そうもいかない中小企業では自社への印象把握に当社の社員エンゲージメント(パーパス共感度)調査が有効だったりもしますよね。
この印象把握も目的としてはマッチする人材へのリーチとなりますので、自社内にいる求める人材像に近い方を基準に、その方に伝わりやすいことを軸に考えたらよいものなのでしょうか。それとも外部からこう見られたいという姿を軸とすべきでしょうか。

藤本
それについては両軸とも必要があると思います。
ただしタイムラグがありまして、採用の目的がビジネスの部分であれば現在活躍されているような方へ向けたものになるでしょうし、目的が組織変革であればそういう方が対象になります。難しい二軸ではありますがアプローチする軸はどちらも持っておくべきでしょう。
この軸を決めていくという点では、エンゲージメントサーベイのような調査が有効になりますし、外からの見られ方という点ではwebブランド調査が有効ですね。内側、外側のバランスと自社がどういう人材を採用したいのかという意思が固まっていれば、おのずとゴールは見えてくるのだろうと思います。

好感度の高かったコンテンツ

松岡
採用系のコンテンツで印象に残っているコンテンツなどはありますか?
私は、スタッフインタビューであえて失敗談を語らせて、それをどう挽回したかや、周囲がどうフォローしてくれたかを掲載して、失敗を恐れない組織であるという姿勢を打ち出していたケースが印象的でした。

藤本
まさに「らしさ」を表現したケースですし、挑戦的な業務環境に身を置きたい方にとっては「豊かな体験」に映るでしょうね。

私が印象的に感じたケースとしては、近年の課題だったコロナ禍でのコミュニケーション施策を紹介した事例が挙げられます。全社イベントを開催するときに、社員が画面に映るものを見るだけでなく、手元に届いた荷物を指定された時間に開封して、サプライズ感とインタラクティブ感を醸成する施策でした。
会社としての施策が決して一方通行ではなく「全社で一緒にやろう」という気持ちが伝わってきましたね。

松岡
そういう企画が良しとされている企業文化であるということも伝わる例ですね。
企業文化に合ったこういった情報発信が考えられるといいですね。

この対談に参加しているデジタル本部の松岡が 「選ばれる」ための採用サイトのつくり方について解説している オンライン講座(録画)と資料がご視聴いただけます。
今すぐご視聴いただけますのでご希望の方は下記からお申し込みの上、ご活用ください。

「選ばれる」ための採用サイトをつくる

A. 採用サイトの基本

 - ①役割

 - ②ゴールとKPI

 - ③理解・共感

 - ④伝える内容

 - ⑤サイト構造例

 - ⑥新卒・キャリアの違い


B. 環境変化

 - 採用の“質”が可視化される

 - ①多様化(価値観とニーズ)

 - ②脱所属(人と組織の関係性)

 - ③比較可能性(オープン情報)


C. 「選ばれる」ために

 - 「選ばれる」ための“豊かな従業員体験”

 - ①対象者の具体化

 - ②一貫した世界観

 - ③リアリティ


 - まとめ

(講座動画約13分20秒)

筆者

デジタル本部 ビジネスアーキテクト部
金縄 洋右 (かねなわ・ようすけ)

企業コミュニケーション領域(ブランドコミュニケーション、デジタルコミュニケーション、コンテンツコミュニケーション、サステナビリティ)の営業、デジタルマーケティング、販促施策などを担当。福岡県福岡市出身。

対談者

コンテンツ本部 編集3部
藤本 淳也(ふじもと・じゅんや)

都留文科大学文学部国文学科(近世文学専攻)卒業。インターナルコミュニケーションや教育、HR、音楽などの領域で、企画編集/ストーリーメイキング/プロダクトマネジメントなどに従事し現職。

※肩書きは記事公開時点のものです。

マーケティング本部 コンサルティング部
松岡春樹 (まつおか・はるき)

システム開発ベンダープリセールス、web制作ディレクターを経て現職。
デジタルコンサルタントとしてwebコーポレートコミュニケーション領域全般の企画・制作に従事。CMプロデュースなど動画制作も担当。

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