中小企業のためのホームページ運営まるわかりガイド 準備編
情報発信施策の棚卸しから始めよう
イラスト:徳宮なっつ / PIXTA(ピクスタ)
そこで、今回はこれまでご支援させていただいた案件で培った経験をもとに、皆様に今日からすぐに活用いただける情報を全3回の連載として書かせていただくことになりました。この記事が少しでもお役に立てるのであれば幸いです。
BtoB事業を主とする企業のご担当者さまが対象です
はじめにお断りさせていただきます。この連載の読者想定は、BtoB事業を主とする中小企業のご担当者さまとなります。というのも、私がこれまでに担当させていただいたほとんどのケースが、中堅・中小のBtoB企業もしくはBtoB事業部門であったからです。BtoCもしくは大企業向けの情報については、私自身がノウハウを持ち合わせていないため、他のメンバーの記事に譲りたいと思います。予めご了承ください。
そもそも何のためにホームページを運営していますか
初回のヒアリングの際、ご相談の経緯を伺うと、「前回にホームページを改修したのが10年以上で、スマホにも十分に対応できていない」や「更新システムに不具合が起きているが、リニューアル当時の担当者もおらず、どうすれば良いかわからない」といったお話をいただきます。しかも、構築当時の協力会社様との取引が疎遠になっているケースが少なくありません。「当時は技術に明るい担当者がいたが、何年か前に退社してしまい……」と仰る方もいます。
その一方で、改修の目的を確認させていただくと、「まだ新しいホームページのコンセプトがあるわけではない」あるいは「全社での課題がまだ明確になっていない」とのご回答をいただく場合が少なくありません。そもそも何のためにホームページを運営しているのか、どの部署が責任を持って運営しているのかすら曖昧なケースもあります。目的や目標が明確でないこともあってか、会社の上層部がコストパフォーマンスを気にして、まとまった予算承認が下りないお悩みを抱えているご担当者さまもいらっしゃいました。
対外向け活動表で全社の課題を確認
このような状況においては、少し視点を広げて、ホームページを含めた対外向けの情報発信をどのように実施しているか、整理してみると良いでしょう。表1にそのテンプレートを、表2に具体例をお示しします。
表1:対外向け活動表のテンプレート。会社が持つ機能別に、担当部署、情報の受け手、発信手段、協力会社を書き出します。
表2:活動表の具体例。表を作ることで、課題が浮かびあがり、ホームページが果たすべき役割が見えてくることも少なくない。
表2では、営業部門において、お客様から紙の製品カタログは検索性の面などで不便だとの声があがっていたこと。あるいは、競合他社のホームページの充実ぶりをみて、自社でも導入事例などの情報を追加しなければならないという意見が社内で持ち上がっていたことなどが課題として捉えられています。また、人事部門からも、求人広告に頼る採用では自社の魅力を伝えきれないという課題があがっていました。
結果的に、これらの情報発信を強化する観点からも、ホームページの改修が必要だと浮かび上がったというわけです。このように、全社の取り組み施策を俯瞰し、誰のために、何のために情報発信しているかを整理することで、ホームページの位置付けを再確認できます。
ホームページの活用シナリオを描く
次のステップとして、ホームページをどのように活用していくか、より具体的な検討をしていくことにしましょう。表2の会社が検討した想定で、図1の施策例を作成してみました。
図1:ホームページを活用した施策の具体例。情報の受け手や担当部署で施策を大別し、各施策の中で情報の流れを想定していくと整理しやすい。
この会社では、営業施策と、採用施策に課題があるのでした。そこで、社内の各検討チームにて、ホームページを含めた理想的な情報の流通経路を整理することにしました。その結果が図1となります。
例えば営業施策においては、広告や検索エンジン、DMに記載のアドレスからホームページ側に誘導し、資料ダウンロード等の申し込みを機会に個人情報を取得。一定の条件が整ったらメールなどで自社セミナーに誘導したり、テレアポをとったりしながら、商談機会につなげていくという流れになりました。
採用施策においても、新卒・中途採用のルートに分けて、自社ホームページを情報発信の中核としていく流れが決まりました。
施策に対応する情報コンテンツを具体化する
ここまで来れば、各施策に求められる情報をより具体化できるはずです。まずは全体を列挙してみてから、既存の情報を活用するもの、修正が必要になるもの、新規で作成するものを分類してみましょう。優先順位をつけておくと、予算が足りなくなったときにどう対処するかの再検討もしやすくなります。単年度では難しくても、毎年の継続的な取り組みの中で、整備していけば、着実に現状よりも良くしていけますので、焦らないことが肝要です。
図2:各施策に対応する各種情報をまとめたもの。ここでもホームページだけではなく、紙資料やデジタルでの配布資料(eBookやPDF)など、必要なものを列挙すると良い。
あとは表2で決めた協力会社と一緒に、各種情報を整備していくだけです。とはいえ、ホームページのリニューアルでは、ここが難しいポイントです。次回は、この点を詳しく解説していきたいと思います。
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マーケティング本部コンサルティング部
有田幸生(ありた・ゆきお)
ウェブ制作会社にて外資系ICT企業のマーケティングサイトの企画・デザイン制作に携わる。 入社後はICT、不動産、メーカー等のサイト制作を担当。現在は企業や大学のウェブリニューアルを支援するコンサルティング業務を中心に従事している。