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コロナ禍で変化する動画需要、企業動画の困りごとを解決

  • 文=内野 侑美
  • 2020年11月20日
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コロナ禍で変化する動画需要、企業動画の困りごとを解決

新型コロナウイルスの影響で、いや応なしにオンライン会議を開く機会が増え、セミナーや研修に動画を活用する機会が増えているのではないでしょうか。周年事業でも、Webサイト制作と合わせて動画コンテンツを掲載する動きに拍車がかかっています。ここ最近の企業動画制作のトレンドについて、日経CNBC営業本部営業部長の黒崎真さんと営業部の笹﨑雅裕さんに話を聞きました。

伸びる動画視聴時間

動画視聴時間は、ここ5年間で4倍以上に成長しています。視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタルの調査では、コロナ禍で外出自粛要請があった3~4月の動画視聴時間は「若年層での利用時間の増加が目立っており、月に2時間40分以上も増加」(※1)しました。「YouTubeの視聴はもちろん増加傾向にありますが、オンデマンドの見逃し配信も生活の一部になっているのではないでしょうか」と日経CNBC営業部の笹﨑雅裕さんは説明します。

リアルタイムでテレビを見ない人の理由としては、「好きなときに、好きなデバイスで動画を見たい」「評判が良かったから見る」というもの。NHK放送文化研究所の世論調査でも、20代では「週に一度もリアルタイムでテレビを見ない人が約3割」(※2)にもなっています。

自分に関係のある情報を手早く効率的に得たい人は、「倍速機能」を使って視聴するのが今やスタンダードになっています。「視聴者の好みが細分化されているので、ターゲットによってナレーション速度に変化を付けたり、キャプションの文字の大きさやシーンを切り替えたりと調整が必要です」と日経CNBC営業部の黒崎真部長は語ります。

動画制作の困りごと

周年事業でもWebサイトと合わせて動画制作をお願いしたいという声が増えてきました。Webサイトにのせる、周年事業パーティーで流す、社員にDNAを伝えるために──。さまざまな理由があると思いますが、どのように制作すればよいかは悩みどころではないでしょうか。制作会社に依頼するにしても、何から着手すればよいのでしょうか。

「視聴者のターゲットをおおよそ決めておくと、動画のトーンが見えてきます。テレビ業界用語でいう『ぜひモノ』(ぜひとも紹介したいもの)をオリエンテーションの際に決めると、制作がスムーズに進みます。新規事業の紹介や社長インタビューを入れたいといった外せないものは、事前に社内で協議しておくとよいでしょう」と黒崎さんは語ります。

東洋紡100周年を記念して制作した動画(左)。軌跡を振り返り、新社長インタビュー、新規事業を紹介して15分尺にまとめた。明治の動画(右)では、グローバル展開を取材するため渡仏。日経CNBCの英国スタッフが現地で取材しました。ヨーロッパ、米国、シンガポールなどの拠点スタッフと連携して動くことが可能

ターゲットを決め、「ぜひモノ」を明確にしたものの、この後、担当者が一番苦労するポイントがあるそうです。「担当者が一番大変になってくるのは、取材・収録の調整だと思います。動画制作側は、候補日を複数いただきスタッフを調整しますので、取材先が複数にわたる場合は社内調整の負担も増えているはずです」と黒崎さん。大変な仕事ですが、社内で横断的にコミュニケーションを取るよい機会になるのは間違いありません。

収録に立ち合い、完成までの過程を味わえるのも周年担当者の醍醐味です。黒崎さんに制作の流れを教えていただきました。「取材・収録の後は、仮編集素材(ナレーション、音楽の入っていないもの)を納品します。映像とナレ原(ナレーション原稿)も合わせて見てもらい、最終段階の音入れ(MA)を行い、OKが出たら納品となります」

社内で一番初めに動画を確認できるのも担当者の役得です。またとない機会と捉えてみてはいかがでしょうか。

オリエンテーション

社長インタビュー、新規事業紹介、若手社員着目など、「ぜひモノ」をこの段階で決めておけると◎。Web 流用あり、パーティーでイメージ動画として流すなど、使用範囲も決めておこう。

取材日程調整

遠隔地など同席できない場合は、現場担当者 をアサインしておくこと。屋外撮影の場合は、天候にも留意を。スタッフと延期基準のすり合わせや予備日設定も忘れずに。

取材・撮影

事前に撮影内容のすり合わせは必須事項。事業所や工場などの場合、背景に映り込んではいけないものがないか要チェック。スタッフのネームプレートは個人情報のため取っておくのがベター。

初稿:仮編集素材&ナレ原

編集素材で映像とキャプションを確認。文字の校正チェックはこの段階でFIXしておくとベター。ナレーション原稿で更新が必要な部分はキャプションだけにしておくという手も。

MA

音入れをしてしまうと編集が難しくなるため、MAの前に流用動画の尺の確認なども忘れずに。気になるところがあれば、MA前にすり合わせしておくのが、工数短縮のコツ。

納品

映像と合わせて二次流用範囲の確認。Web サイトと連動する場合、格納する場所の確認もお忘れなく。

動画公開時のトラブルを避ける方法

動画の需要拡大理由の1つは、Webサイトと動画の連動です。Web公開時に起きやすいトラブルが二次利用。主目的以外で使用することを二次流用といいます。最初に二次利用範囲を明確にしておくのがポイントです。

「動画をWebサイトへ掲載するのが決まっているのであれば、初めに明言してください。ナレーターや著名人出演の場合であっても、最初からインクルードで依頼すると余計なコストがかからずに済むからです」(黒崎さん)

まず初めに結論を掲示し、伝えたいことを明確にするのも最近の傾向。2019年に迎えた100周年を迎えたオリンパスでは創業時から培ったレンズ光学技術を生かし、最先端医療をサポートし、夢を形にする企業のルーツをたどった

Webサイトに掲載する場合の尺の長さも確認材料の1つです。「構成にもよりますが、長すぎる企業動画はなかなか見られません。飽きさせない長さがよいでしょう」(黒崎さん)。ただ、記録として残すのであれば、必要な情報をすべて詰め込むのも選択肢の1つとなります。

日経CNBCグループで動画を制作する

日経CNBCは年間20~30本、「企業研究シリーズ」という5分~15分番組を制作しています。情報番組のような手軽さよりも重厚なドキュメンタリーとし、制作のスタッフは日経スペシャルのような人気番組を担当する精鋭ぞろいで構成されます。

「日経CNBCはCSテレビ局として、視聴者の細分化したニーズに応える番組を制作しています。視聴者は平日ですと個人投資家が多く、土日ならばビジネスパーソンが多い。自社の新規事業や社長交代によるピジョン変化などをダイレクトに周知することが可能です」と黒崎さんは説明します。

メディアであるからこそ、動画プラットフォームとしての活用も可能です。
「ホールディングス企業だと、自社でYouTubeのチャンネルを持つことがコンプライアンス上禁止のケースがありました。その場合、日経CNBCのチャンネルにアップできるので、動画公開の制限がクリアされる場合もあります」(笹﨑さん)

日経CNBCのYouTubeチャンネルでは、CXで放送していた番組のバックナンバーを見られる。オリエンテーション前に、イメージする動画を探しておくのも1つの方法。/今回お話を伺った日経CNBC営業部営業部長・黒崎真さん(左)、営業部・笹﨑雅裕さん(右)

少し前まで、動画は多額の予算がかかるものと思われていたかもしれません。しかし今は比較的リーズナブルに動画制作が可能になっています。ある日突然、動画制作担当者に任命されて、右も左も分からない。そんなときは、プロの知見に頼ってみるのが一番です。自社の伝えたいメッセージを明確にし、制作のプロフェッショナルたちに相談すれば、動画制作の解決策が見えてくるでしょう。

株式会社日経CNBC

日本経済新聞社と米国4大ネットワークの1つNBCの子会社CNBCが中核となり、1999年に開局した24時間マーケット・経済専門チャンネル。視聴契約数は全国で600万世帯を超えています。2012年にはインターネットで放送内容を配信する「日経チャンネルマーケッツ」も開設。グローバルネットワークも強みとして、世界を広くカバーしています。

https://www.nikkei-cnbc.co.jp/

周年事業センター 周年事業ラボに関するお問い合わせ

※1 - 出典:「動画サービスの利用状況の変化」(ニールセン デジタル株式会社)

※2 - 出典:「メディア多様化の20代とテレビ」(NHK放送文化研究所)

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