周年事業周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた(4)
テキストマイニングからスローガンを作成
- 文=菅野和利
- 2021年06月29日
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日経BPコンサルティングの自社周年事業を紹介する本連載では、コンサルタントが当事者となったらどんな周年事業になったのかを赤裸々につづってきました。ここまで、経営層ヒアリング、従業員・顧客意識調査、未来を語るワークショップを解説しました。第4回はスローガン、ミッション、ビジョン作成について紹介します。
周年事業の担当者は大変です。兼務ならなおさら苦労も多いでしょう。1年以上、時には3年以上にわたる周年事業では、社内調整がうまくいかずもう嫌だとさじを投げたくなったり、思ったように施策が進まず焦りで不安にいっぱいになったり谷底に落ちたような感覚になる時期もあるでしょう。しかし、谷あれば山あり。向かい風が追い風に変わるタイミングが必ずあります。
当社にとって周年事業の好転のきっかけは、未来を語るワークショップでした。私自身もワークショップのファシリテーターを務めて、ようやく周年事業への手応えを感じてきました。ワークショップでは、手伝ってくれそうな従業員に積極的に声をかけたら、面白がってくれた何人もが準備や当日の運営を手助けしてくれました。回を重ねるごとに、周年事業を通じた従業員同士の輪がどんどん広がっていきました。当初は辞令を伴った10人のメンバーで始まったものの、非公式な協力メンバーは20人以上になり、何か友だちがどんどん増えていくようなワクワクした感じまでありました。
テキストマイニングで自分たちの言葉をキーワード化
当社周年事業の目的は、10年先20年先を見据えた経営理念(スローガン、ミッション、ビジョン)をつくることです。第3回で紹介した未来を語るワークショップで従業員自らがつむぎ出した言葉を、経営理念づくりに生かしていきます。テキストマイニングという手法を使い、従業員が書いた文章を単語に分解。それらの単語をプロジェクトメンバーで分類していきました。最終的に、頻出単語を大きく表示する形式で図版化しました。
続いて、テキストマイニングから導いたキーワードを全社メールで従業員に展開し、これらのキーワードを使ったスローガンを公募しました。10件も集まればいいんじゃないか、というプロジェクトメンバーの予想をいい意味で裏切って、計53ものスローガン案が集まりました。
この頃にはすでにコロナ禍が始まっており、当社も在宅勤務を採り入れていました。集まったスローガンに対する絞り込みは、オンラインブレスト会議で行いました。ブレスト会議に参加した従業員で、オンライン投票も実施。この時点ではオンライン活用がかえって良い方向に働きました。オンライン会議だったからこそ会議室では集まれない人数(25人)がスローガン選定のブレストに携われました。
ミッション、ビジョンは、テキストマイニングから導き出したキーワードを使ってコピーライティングを行いました。プロジェクトメンバーで何度も案をもんで、まとめたものを経営会議に提出。経営会議からの指摘に対し、またプロジェクトメンバーで何度も検討し、文章の推敲を重ねました。気が遠くなりそうなやり取りを経て、納得のいくミッション、ビジョンにたどり着いたときは、これこそ私たちの言葉だという確信が持てました。
次回は、スローガン、ミッション、ビジョンに対する従業員の感情を計測する共感モニタリングについて紹介します。
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- 2021年06月29日
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連載「周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた」
- (1)トップを巻き込むための経営層ヒアリング
- (2)現状を把握する従業員調査。内外のギャップに注目
- (3)未来を自分事化。未来ワークショップの効果
- (4)テキストマイニングからスローガンを作成
- (5)経営理念への従業員共感度を測る
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