周年事業周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた(3)
未来を自分事化。未来ワークショップの効果
- 文=菅野和利
- 2021年06月15日
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周年コンサルタントが自社の周年事業を手掛けたらどうなったか。山あり谷あり、涙と笑いありのプロジェクトを紹介する連載第3回のテーマは「未来」です。
日経BPコンサルティングの3社統合10周年記念プロジェクトは、経営層ヒアリングから始まりました。ヒアリングでは社長から「10年20年後どうなっていくべきかの指針を。会社の憲法やDNAをつくってほしい」、副社長から「迷ったときに立ち返れるような指針を」という要望がありました。当社の周年事業はこの段階から正式に、自社のDNAを見いだし経営理念(スローガン、ミッション、ビジョン)を策定するプロジェクトとなりました。
経営層ヒアリングの次に行ったのが、従業員・顧客意識調査です。調査により、社内からの自社イメージと社外からのイメージのギャップを明らかにし、当社のDNAとなる要素のヒントを見いだしました。
さて、ここからどうすべきか。周年事業で最も大切なのは、いかに従業員を巻き込み、未来を自分事化してもらうことです。ポイントは今の自分と会社の未来とのリンクです。自分の幸せと会社の発展の方向性をすり合わせられれば、多少つらくても前向きに仕事に取り組めますし、会社への貢献度も上がります。
言うのは簡単、実行は難しい。コンサルタントとして“べき論”をお伝えはできても、果たしてそんな理想像を実現できるのか。そもそもみんな協力してくれるのか。何ともいえない不安がじわじわと心の中に広がっていきました。
未来への意見が出ないのではない。場がないだけ
10周年記念プロジェクトメンバーで長めの会議を行い、従業員に未来を自分事化してもらうため、未来を語るワークショップの実施を決めました。実施は2020年1月29日~2月4日、2時間の対面ワークショップとしました。今思えばコロナ禍の直前であり、1週間日程が遅ければ実施の見合わせを検討せざるを得ない、ぎりぎりの時期でした。
構成は3部構成です。
◇第1部:仕事でぐっときたエピソード
参加メンバーに、ぐっときたエピソードを思い出してもらい、エピソードから当社の現状の強みを考えてもらいました。
◇第2部:私の未来を考える
SDGsの17の目標から1つを選び、その分野で自分がつくりたい未来を考えてもらいました。
◇第3部:強みと未来を言葉にする
過去のエピソードと未来への希望から、日経BPコンサルティングの核となる言葉を考え抜きました。
◇おまけ
頭で考えるのではない、五感を刺激するサプライズメニューを設けました。どんなものかは記事下の10周年記念サイトからご確認ください。
未来を語るワークショップでは、考える材料として、従業員・顧客意識調査の抜粋資料や、SDGs関連の資料を机の上に置き、その都度参考にできるようにしました。周年コンサルタントとしてよく耳にするのが、ワークショップを行っても従業員から意見なんて出ないのではないか、というものです。当社の周年事業ワークショップを実施して分かったのは、考えるのに適切な材料と語ってもよい適切な場があれば、意見は出る。しかも、思いもよらない人からも出るという事実でした。
ワークショップ後の波及効果も設計に入れる
未来の自分事化というテーマのため、参加は強制ではなく自主的に参加可能な日程を選ぶ形式にしました。ふたを開けてみれば、約5割の従業員が参加してくれました。結果的に、当初4回を予定していたワークショップは計7回に及びました。どうしても都合がつかないけれど参加したいという従業員に向けて、追加開催したためです。わずか2人の参加者で実施した回もありました。
ワークショップ参加者には、参加しなかった人に「面白かった」「わくわくした」などと感想を伝えるようにお願いしました。周年事業では施策参加者からの波及効果が重要です。知った人から直接聞く行為は、人の意識を変えやすいからです。
ワークショップ後、参加者の感想の中には「これまで会社は作業場だったけど、初めて会社の一員だと感じた」といううれしいコメントがありました。ワークショップをやってよかった! とオフィスの通路でガッツポーズをしたのは忘れられません。
次回は、ワークショップの結果を活用したスローガン公募・オンラインブレストについて紹介します。
10周年記念プロジェクトの全体像はこちら
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- 2021年06月15日
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連載「周年コンサルタントが自社の周年をコンサルしてみた」
- (1)トップを巻き込むための経営層ヒアリング
- (2)現状を把握する従業員調査。内外のギャップに注目
- (3)未来を自分事化。未来ワークショップの効果
- (4)テキストマイニングからスローガンを作成
- (5)経営理念への従業員共感度を測る
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