社内にパーパスを浸透させるためのファーストステップ

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    ブランドコミュニケーション部 大平 望実

人的資本に注目が集まる中、経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」など、人的資本経営という文脈で、エンゲージメントが重要であるという認識が高まっている。エンゲージメントを測る上で、「パーパスへの関心」は重視すべき指標である。弊社が実施した調査では、パーパスへの関心の有無が、従業員の働く姿勢や自社へのロイヤルティに大きな影響を与えることが明らかになったので、調査結果からパーパスの効果について読み解いてみる。

「パーパスは従業員にポジティブな影響をもたらす」ものの、「パーパスに関心がある」と答えた従業員は3割弱に留まる

国内のビジネスパーソン4250名のうち、パーパスに関心のある層(1240名)と、関心のない層(1200名)に分けて、「自身への会社の人事評価に納得している」「会社に将来性を感じる」「今後も今の会社で働きたい」「業務を通じて自分自身が社会に貢献できている」「このチームでは、新しく加わったメンバーとすぐに信頼関係を築くことができる」という5つの項目をクロス集計で分析した(表1)。

表1 各項目に対して、肯定の回答をした比率

結果として、各項目に対して、自社のパーパスに関心があると答えた層は、関心がないと答えた層と比べて、肯定的な回答が約20ポイント以上高かった。その中でも、「このチームでは、新しく加わったメンバーとすぐに信頼関係を築くことができる」ことは、企業組織や従業員のエンゲージメントにポジティブな影響をもたらすといわれ、心理的安全性にも関わる。

どの項目でも大きな差があるが、とくに「今後も今の会社で働きたい」は、約30ポイントの差が出た。人材の流動性が高まる昨今、経営層や人事部門などにとって、とても注目すべきデータだ。パーパスに関心を持つ従業員を増やすことが非常に重要になっているといえる。ただ、パーパスに関心があると答えたのは29.2%と3割弱に留まった。

パーパスが宝の持ち腐れにならぬよう、策定したパーパスの浸透や関心を高めるために、多くの企業では、広報部門をはじめとして、社内報などの各種社内コミュニケーション施策の実行に注力している。その効果測定として、現在の従業員の状況を調査で適宜把握することが求められている。重要な指標となるパーパスの関心が低いようなら、施策を見直すきっかけにもなる。まずは、パーパス浸透の最初のステップとして、調査で従業員の現状を把握してみてはいかがだろうか。

大平 望実

ブランド本部 ブランドコミュニケーション部
大平 望実

慶應義塾大学院で心理統計を学び、日経BPコンサルティングに入社。各種ブランド調査を担当し、2020年から「企業メッセージ調査」のプロジェクト・マネージャー。2023年から「ブランド・ジャパン」の調査にも携わる。

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