調査データ周年事業ラボ調査データ(8)
100年企業は従業員が会社の将来像を考えている
- 文=雨宮健人
- 2018年03月22日
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あなた自身は会社の将来について、普段、どれくらい意識して考えているだろうか。多くの従業員は日々の業務に追われて、会社の将来のことなど考える余裕がないのではないか。今回は、レベル別に「会社全体の将来像」「担当している事業」「予算達成」「日々の業務」の4段階に分けて、どれくらいの視野で会社と向き合っているか、創業からの年数で違いがあるかを分析する。調査は日経BPコンサルティングのシンクタンク・周年事業ラボが行った(2017年7月実施)。
100年企業は全体の将来像を常に考えている
勤務先の将来をどの程度、考えているか。「全体の将来像を常に考えている」「担当している事業の拡大を考えている」「予算達成など1年単位のミッション遂行を考えている」「日々の業務に追われ新しいことを考える余裕がない」のなかから1つを選んでもらった。回答を創業年数別に区切ったところ、それぞれの回答において下記のような傾向が表れた。
図 勤務先の将来をどの程度、考えているか(創業年数別、SA)
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図1によると、「全体の将来像を常に考えている」と回答したのは、創業100年以上の企業で30.4%となった。この比率は、他の創業年数の企業中、最も高い。創業100年以上の企業の回答で区切って見ても、他の回答に比べ最も高い比率となっていた。従業員の3割以上が、自社について全体の将来像を常に考えている実態が明らかとなった。視野としては次に広い「担当している事業の拡大を考えている」については、70年以上100年未満の企業が最も高い(28.7%)選択率となった。100年以上の企業がほぼ同率で27.7%の一方で、5年未満の企業が18.2%、10年未満の企業が14.3%と、若い企業とは10ポイント以上の差がついた。
「予算達成など1年単位のミッション遂行を考えている」レベルになると、40年未満、70年未満、100年未満の企業がそれぞれ19.8%、21.2%、22.2%でほぼ同率となった。 「日々の業務に追われ新しいことを考える余裕がない」回答比率のトップは10年未満の企業の47.3%。5年未満の企業が45.5%で続き、半数弱が選択した。傾向として、創業年数が浅いほど日々の業務に追われがちで、会社を俯瞰して見ていないことがいえる。
会社への俯瞰力は創業年数と比例関係
今回の選択肢「全体の将来像を常に考えている」「担当している事業の拡大を考えている」「予算達成など1年単位のミッション遂行を考えている」「日々の業務に追われ新しいことを考える余裕がない」は、勤務先の将来の広さ・長さのレベル感にすると、「会社単位・5年以上」「事業単位・2~3年程度」「部単位・1年程度」「個人単位・半年以下」と言い換えられる。それぞれのゾーンに多い創業年数の企業は、会社単位が100年以上、事業単位が70年以上100年未満、部単位が70年以上100年未満/40年以上70年未満/20年以上40年未満、個人単位が5年以上10年未満/5年未満と、ほぼ、将来の広さ・長さのレベル感と創業年数の長さとに比例関係が見て取れた。
100年企業の従業員ほど、俯瞰力をもって会社の将来を考える傾向が高まるといってよいだろう。
本調査のExcelデータダウンロード
以下のリンクから、簡単な情報登録だけでExcelデータをダウンロードできます。
本調査について
日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社モニター2135人を対象に2017年7月に調査
- 2018年03月22日
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