10th ANNIVERSARY MESSAGE10周年に寄せて
日経BPコンサルティングは皆様のお力添えをいただいて10周年の節目を迎えました。今までの歩みの中で多くの皆様に支えていただいたことに心より感謝申し上げます。
我々にとって記念の年となるはずだった2020年は、世界が想像もできなかった感染症に襲われて、歴史に残る大きな転換点になりました。56年ぶりに開催される予定だった東京五輪は延期に追い込まれ、世界の大国が国内外での分断と軋轢を経験し、水面下に潜んでいた様々なひずみと矛盾が覆い隠せなくなったことで、未来への不安と不透明感が社会全体に広がっているように映ります。
一方で2020年は、この社会が多くの人の働きや貢献によって成り立っていること、一人ひとりの存在は小さなものであったとしても、私たちの日々の働きが複雑な社会を動かして、世の中を支えている地の塩、世の光となっていることを、改めて痛感させられた一年でもありました。
緊急時での医療従事者や介護従事者の皆様、行政関係の皆様の有形無形の貢献はもちろんのこと、このメッセージがお一人おひとりの手元に届くまでにも、電力、通信、パソコンやスマホなどの情報機器、ソフトウェアやアプリケーションなどを活用することで、多くの方々の貢献や技術の積み重ねが見えないところでの支えになっている。私たちが日々手にする食料や衣料、雑貨などの生活必需品にしても、スーパーの店頭に突然、現れてきたわけではありません。日常生活を支える日々の過程に携わっている多くの人たちの国境を超えた働きを思うにつけ、素朴な感謝の想いが募るばかりです。
混迷の世、
貢献できることはなにか。
この混迷の世にあって、3社統合10周年を通過点として未来に向けて歩んでいく日経BPコンサルティングは、お客様や社会に対してどんな貢献を行っていけばよいのか。皆様からどんな期待をいただいているのか、それ以前に、我々自身はお客様や社会のために何ができるのか。ほぼ1年間かけて社内で議論を積み重ねてきた結果、「COMMUNICATION & _____」をスローガンに掲げ、「コミュニケーション」を柱に据えたミッションとビジョンで顧客の皆様と社会に貢献することを我々自身の行動原理として定めることになりました。
分断されたときに、
はじめて気がつくこと
社会を円滑に動かしているのは、人と人、組織と組織、企業と企業、企業と人、企業と社会、国と国、ありとあらゆる水準での信頼感であり、相互理解であることは改めて指摘するまでもありません。一方でコミュニケーションが分断されたとき、情報が信じられなくなったとき、お互いがお互いに正確な事実を開示していないとの不信感が広がったとき、世の中がどれだけ暗くなり、未来への希望がどれだけ損なわれてしまうのか。2020年のコロナ禍にあって、正確なコミュニケーション、誠実なコミュニケーション、伝える努力、受け取る努力の大切さを、世界中の人々が嫌というほど実感させられてきたのではないでしょうか。
「編集の本質」
私事になりますが、私自身、30年以上にわたって情報出版事業に携わり、自ら筆を執って記事を書く仕事に関わってまいりました。社内外を問わず、本人だけの「伝えたい何か」を明確に持っている記者編集者こそが、質の高い良い仕事を残してきたのを目の当たりにしてきました。伝えるテクニックは長い時間をかけて編集の仕事に携わってくるうちに、ある程度は身についてくるものだと思っています。一方で本当に世の中に伝えたい何か、テーマやメッセージの中身そのものは、他人から与えられるものではありません。世の中に伝えたい情報や伝えるべき事実を持っている人や組織が存在しているのであれば、プロとして磨いてきた調査や情報伝達のノウハウで伝える力を後押しすることはできる、それが編集という仕事の本質であることも、職業人としての経験を通じて身に染みて理解できるようになりました。
「伝えたい何か」を。
日経BPコンサルティングは、日本経済新聞社および日経BPのグループ企業として、「しらべる、つくる、つたえる」力でより良いコミュニケーションの輪をひろげていくための経験とノウハウを受け継いできています。皆様の「伝えたい何か」を発信するコミュニケーションのお手伝いをさせていただくことで、我々自身がこれからも皆様の事業と社会に貢献する企業であり続けたい。今まで以上に皆様に必要な存在だと思っていただけるように、我々自身、これからも日々、研鑽を重ねていく所存です。
10周年のささやかな節目に当たり、皆様と社会の明日が希望に満ちたものでありますように、我々の働きがその一助として用いられますように、祈り願っています。