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 仕事と生活との調和をとり、その両方を充実させることを目指すワーク・ライフ・バランス。地方では一体どのような取り組みが行われているのでしょうか。それを探るため、本州最北の地、青森県を訪れました。

 冬の間は雪に覆われることから、閉鎖的な印象を持っていましたが、実際は明るくて温かい方たちばかり。四季の移ろいを身近で感じられる豊かな自然環境のもと、適度な距離を保ちながら人と人がつながり、助け合いながら働いている姿が印象的でした。

 第一弾では、青森県健康福祉部こどもみらい課の尾形公一さんと岩谷玲子さんに聞いた、青森県が取り組む「働き方改革」について紹介します。

 聞き手=内野侑美(カスタムメディア本部 第一編集部) 文=小口梨乃 写真=武藤奈緒美

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青森県の働く環境は、まだ発展途上


通勤に車を利用することが多い青森県では、お風呂セットを車に積んでいる人も多いと教えてくれた岩谷さん。

青森県では、どのような職業が多いのでしょうか?

尾形: 農業がメインだと思われがちですが、実際はサービス業などの第3次産業に従事する割合が多く、県内総生産の74.4%を占めています。また、不動産業や政府サービス生産者(電気・ガス・水道業など)も増加傾向にあります。一方、農林水産業は3.9%で昭和30年度の約10分の1にまで減少しています(※1)。

青森ならではの働き方はありますか?

岩谷: 1~2月はとくに雪が多いので、毎朝雪かきをしてから出勤しているという人がほとんどですね。帰ってからも雪かきをしますし、土日は屋根の雪を下ろします。力仕事ですが、男女問わずできる人がやっていますね。それから、青森県は温泉がたくさんあるので、出勤前や帰宅前に温泉に寄る、という話もよく聞きます。冬はスキー板を車に積んでおいて、仕事帰りにスキー場に寄る人もいるようです。

とてもうらやましい働き方ですね! ワーク・ライフ・バランスが推進されているように思うのですが、実際はどうなのでしょうか。

尾形: 働き方については、まだまだ課題があり、東京に比べると青森県は男女問わず賃金が低く、非正規雇用も多いのが現状です。若者の早期離職率も全国平均より高くなっています。経済的に安定しないので、結婚に対する希望が持てず、若者の未婚・非婚化が加速しています。また、一度都市部に出た若者はなかなか戻ってこないので、人口の流出も進んでしまっているのが実情です。

少子化に歯止めをかける「あおもり働き方改革推進企業認証制度」


県の取組みについて、たくさんの資料をもとに丁寧に説明していただきました。

青森県の産業を担う働き手や次世代の担う人材の確保が課題なのですね。

尾形: 今年4月からスタートした「あおもり働き方改革推進企業認証制度」も、少子化対策の推進が一番の目的です。若者の雇用安定、女性の継続就業、男女の家庭参画、ワーク・ライフ・バランスの推進など、「働き方改革」に積極的に取り組む企業を県が認証することで、男女問わずすべての労働者が働きやすい環境を整備するとともに、仕事が安定することは結婚や子育てへの意欲を喚起することにもつながると考えています。

具体的にはどのような基準で認証するのでしょうか。

尾形: 次世代育成支援に対する取り組みを明確にする「あおもり働き方改革宣言企業」に登録するなどの要件を満たしていることを前提に、①若者の経済的安定、②女性の活躍・継続就業、③男性の家庭参画、④ワーク・ライフ・バランスに関する計15のチェック項目の内、5項目以上(労働者が301人以上の企業は8項目以上)当てはまることが条件です。
 認証された企業は、企業のPRとなるのはもちろん、県が行う入札等での優遇、県内金融機関の低利融資や県働き方改革推進事業費補助金も活用できます。認証の有効期間は2年間です。

女性が継続的に働けることが、少子化対策につながる

青森県の少子化はどのくらい深刻なのでしょうか?

岩谷: 合計特殊出生率は平成21年に過去最低の1.26を記録してしまいました。今は少しずつ改善されてきていますが、女性の人口が減少しており、平成21年度と27年度の15〜49歳の女性人口を比較すると、約36,000人も少なくなっています。
そこで、少子化対策の前段階として、女性の人口を増やす社会減対策も必要だと考え、平成28年に女性が働き続けやすい魅力的な企業を増やすための方策をワーキングチームで検討しました。
 その結果、妊娠・出産・子育て期でも働き続けられることや正社員転換を実施していることなどを「あおもり働き方改革推進企業認証制度」のチェック項目としたところです。

青森県の女性たちは、どのような働き方をしているのでしょうか?

岩谷: 育児をしている女性の有業率は高く、全国で10位の66.3%です。とくに25〜29歳は80.1%と高いのですが、30〜34歳になると急に約10%減少します(※2)。しかし、「結婚や出産にかかわらず、ずっと職業を持つ」と考えている20歳以上の女性は、全体の46.7%ということが分かり、働きたい意志はあるが、結婚・妊娠・出産時期に仕事をやめざるを得ない女性が多いのではと考えられます。(※3)。


若者や女性の支援など県庁の各課で行われている取組みと掛け合わせて「働き方改革」を推進して行きたいと明るく応えてくださった尾形さん。

男性は子育てに積極的なのでしょうか?

尾形: 実は、青森県は男性が家事に参加する時間が短く、1日当たりの家事時間は8分という統計も出ています(※4)。男性の家庭参画が進んでいないことも、女性が継続的に就労できない一因だと考え、男性の育児休業取得や配偶者出産直後の休暇取得なども推進していきたいと考えています。

これからの目標を教えてください。

尾形: 6月現在の認証企業は9社なのですが、今年度で100社を目指しています。そのために、制度に対する理解が深まるよう、会合などで制度を紹介したり、企業に対して地道に働きかけたりしていきたいと思っています。

資料
※1(参照:平成26年度「青森県県民経済計算」)
※2(参照:平成24年度「就業構造基本調査」)
※3(参照:平成27年度「青森県 男女共同参画に関する意識調査報告書」)
※4(参照:平成23年度「社会生活基本調査」)

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内野 侑美

カスタムメディア本部 第一編集部 エディター

女性向けムック、実用誌の編集経験後、現在は、企業広報誌、パンフレットを手掛ける。

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