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「難工事を容易に」 羽立化工がポリエチレン樹脂製U字溝を開発

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イノベーションが起こる場所は、我々の身の回りにも存在する。例えば、道路の側溝である。側溝を作る場合、コンクリート製の「U字溝」という建築資材を使用するのが一般的だが、近年樹脂製のU字溝が市場に登場し始めており、建築・土木工事の業務効率化や低コスト化に一役買っている。

プラスチック成形加工を手がける羽立化工(静岡県湖西市)も、ポリエチレン樹脂製U字溝の市場性にいち早く着目、4年ほど前から製品の開発に取り掛かり、2017年4月から販売を開始した。自動車部品の受託加工が売上の過半を占める同社としては、初の自社製品という(図1)。

図1●羽立化工が開発したポリエチレン樹脂製U字溝。2本を接続している

図1●羽立化工が開発したポリエチレン樹脂製U字溝。2本を接続している

同社営業技術部営業開発グループの横山雅学課長は、「ポリエチレン樹脂製U字溝の認知度はまだまだだが、公共工事などを中心に採用は増加しており、需要の伸び代は大きい」と今後の市場拡大に期待感を示す。

コンクリート製の従来品U字溝と比較した場合のポリエチレン樹脂製U字溝の主な特徴は、①軽量であること、②酸やアルカリに対する腐食耐性、③施工性・運搬性の向上だ()。

   
コンクリート製 ポリエチレン製
耐用年数 [年] 25~50 20~40
重量 [kg] (注) 約50~300 約4~13
施工性 重機 必要 不要
位置調整 困難 容易
切断加工 困難 容易
取り扱い 丁寧さ、注意が必要 気軽かつ楽
強度 剛性
柔軟性・伸縮性
回避すべき要因 過度の応力や衝撃 低温環境下での衝撃、鋭利で硬いものによる裂傷や穴
性能劣化要因 化学的侵食
継目損傷
ヒビ割れ
摩耗
紫外線
高温(80℃以上)
たわみ
摩耗
裂傷・穴開き

(注) 幅180~600mm、定尺1mの場合
表●コンクリート製およびポリエチレン製U字溝の比較表(羽立化工の資料を基に作成)

まず、重量については、コンクリート製の従来品が約50~300kgと重いのに対し、ポリエチレン製U字溝は約4~13kgと10分の1以下の軽さである。同社では自動車部品の製造などで培ってきた技術力により、長さ2m超の樹脂製品でも大型ブロー成形で製造できることから、U字溝全体をポリエチレンで形成する「オール樹脂製」とし、金属部品をほとんど使用していないことも軽さに寄与している。

次に腐食耐性もコンクリート製の従来品より格段に優れている。近年、大気汚染などの影響から酸性雨が降り、コンクリートを侵食することにより生じるインフラ劣化が懸念されつつあるが、酸やアルカリに強い樹脂製のU字溝ではそういった懸念がほとんどない。

軽さにも関連するが、施工性や運搬性が良いこともポリエチレン製U字溝のメリットである。従来のコンクリート製品では人力での施工が困難なため、一般には油圧ショベルなどの重機を使用することが多い。しかし、狭小地や急こう配の傾斜地などでU字溝を設置する場合には重機の搬入が出来ず、このような場合には型枠に生コンクリートを流し込んで一から施工を行う必要が生じ、工期や施工コストの増大を招くという課題があった。

ポリエチレン製の同社U字溝であれば、幅600mmと大きなものでも1個当たりの長さが1m、重さも10kgあまりで重機も不要となり、人力での運搬や施工が可能だ。このため、従来のコンクリートでは困難であった狭小地や急傾斜の場所でも容易な施工が可能となり、工期やコストの低減に繋がる(図2)(図3)(図4)(図5)。

図2●大阪府・新名神高速道路の排水工事の事例。

図2●大阪府・新名神高速道路の排水工事の事例。幅300mmの樹脂製U字溝を約340mにわたって採用

  • 図3●静岡県静岡市における急傾斜地の排水溝工事事例。

    図3●静岡県静岡市における急傾斜地の排水溝工事事例。
    約70mにわたって300mm幅の樹脂製U字溝を採用し、人力で施工している

  • 図4●静岡県浜松市における急傾斜地の治山工事事例。

    図4●静岡県浜松市における急傾斜地の治山工事事例。
    約120mにわたって500mmおよび600mm幅の樹脂製U字溝を採用

  • 図3●静岡県静岡市における急傾斜地の排水溝工事事例。

    図5●太陽光発電所の造成工事で採用された事例。
    メガソーラー(大規模太陽光発電所)などの用地では傾斜箇所も多く、樹脂製U字溝のニーズがあるという

  • 図6●福島県における汚染土仮置場の造成工事事例。

    図6●福島県における汚染土仮置場の造成工事事例。
    約320mにわたって300mm幅の樹脂製U字溝を採用。写真の上側には汚染土を入れたフレコンバッグが見える

軽量で施工性や運搬性に優れているという利点は、一般的なインフラの建設工事だけでなく、仮設の用水路や排水路といった需要でも活きる。例えば、福島県では汚染土壌の仮置場造成工事のために、同社製のU字溝が採用された事例がある(図6)。

また、近年では、気候変動の影響と考えられる台風の大型化やゲリラ的な集中豪雨、河川の氾濫といった激甚災害の多頻度化や被害の大規模化が生じ易い傾向にある。

それに伴う復旧工事や河川の流れを一時的に制御するといった必要性から、一度施工したU字溝を撤去・処分し原状復帰を行わなければならない場合も増加しており、そういった状況にも軽量で可搬性や施工性に優れる樹脂製U字溝が最適と言えそうだ。

横山課長は、「一般的な道路の側溝などでは、まだ割高な樹脂製のメリットはあまりない。一方、コンクリートでは困難な地すべり地帯や重機が入らない急傾斜地、原状復帰する必要がある仮設の造成工事などでは樹脂製のU字溝でなければ対応が困難なケースも多いので、『適材適所』で採用を検討して頂ければと考えている」と説明する。

羽立化工(株)「ポリエチレン製U字溝」製品資料

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